L・P・ ハートリー「ポドロ島」 (KAWADE MYSTERY)

こんばんは、皆様、三頌亭です。最近、ebookで『The Complete Short Stories of L.P. Hartley(Beaufort Books:1986)』というのを買ってみました。L・P・ ハートリーの短編全集です。アンソロジーピースとしてはよく収録される作家なのですが、まとまったものは河出書房新社から出た「ポドロ島」ぐらいでしょう。収録作品は全部で12編でして、その特徴はすべての謎に明確な結末がないということでしょうか?。このあたりアメリカのモダンホラー作品なんかとは全くことなるので、読む人によって好き嫌いが分かれるところでしょう。作品集「ポドロ島」のなかで三頌亭が最も好きなものは「動く棺桶」で、妙なブラックユーモアが突っ走っていておかしい作品です。

余談ですが以前紹介いたしました、『恋を覗く少年』(蕗沢忠枝訳:新鋭海外文学叢書1955年)はジョセフ・ロージーハロルド・ピンターのコンビで映画化されていて邦題を「恋」(原題:The go-between 1971)といいます。映像は素晴らしかった記憶があります。ストーリーはイギリス版「野菊の墓」といったイメージなんですが・・・興味のある方はご覧になってみてください。

出版社紹介&収録作品
ヴェネチア沖の小島にピクニックに出かけた男女が遭遇する不気味な出来事を描いた表題作、小説家が謎の読者からの手紙に脅かされる「W・S」、奇怪な機械仕掛けの棺が登場、ブラックユーモアに満ちた「動く棺桶」他。心の闇にひそむ妄執を精妙な筆致で描く異色恐怖小説集。

ハートリー,レズリー・ポールズ
1895‐1972。イギリスの作家。オックスフォード大学を卒業、二十代で評論家・短篇作家として出発。第二次大戦後、自伝的長篇三部作『小海老とイソギンチャク』『第六天国』『ユースタスとヒルダ』(1944‐47)で注目を集める。『恋を覗く少年』(1953)は「完璧な小説」と批評家の絶賛を浴びてベストセラーとなり、ジョゼフ・ロージー監督、ハロルド・ピンター脚本で映画化された(『恋』)。その怪奇短篇はしばしば「英語で書かれた最も洗練された幽霊譚」と評される。「ポドロ島」「W・S」「豪州からの客」などは怪奇小説アンソロジーの定番的名作

『ポドロ島』
『動く棺桶』
『足から先に』
『持ち主の交代』
『思いつき』
『島』
『夜の怪』
『毒壜』
『合図』
『W・S』
『パンパス草の茂み』
『愛し合う部屋』

 

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ハートリー「ポドロ島」 (KAWADE MYSTERY)

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The Travelling Grave and Other Stories(Arkham House:1948)

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The go-between 1971