山田風太郎「幻燈辻馬車」(新潮社:1976)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は以前読んだ本の中から紹介いたします。山田風太郎「幻燈辻馬車」です。この作品、連作短編集といったほうがいいのでしょうか?。山田風太郎の明治小説集のなかのひとつですが、三頌亭が読んだ彼の明治ものの中ではもっとも面白かった作品です。後年、似た作風の作品(澁澤龍彦 唐草物語」、荒俣宏帝都物語」)が書かれました。後者2作品は珍しいノンフィクションの要素が強いのですが、山田風太郎のものはフィクション部分のうまさが際立っています。内戦で死んだ父親の幽霊がなんともユーモラスで、このあたりは映画で人気のある「ゴーストもの」なんかを参考にしたのかもしれません。

あらすじ
明治15年。年々文明開化の華やかさを増す東京を行く1台の古ぼけた辻馬車があった。それを駆るは元会津同心の干潟干兵衛。孫娘のお雛を馭者台の横に乗せて走る姿が話題を呼び、日々さまざまな人物が去来していく。ある日2人は車会党の恨みを買い、壮士らに取り囲まれてしまう。危機に晒されたお雛が「父!」と助けを叫ぶと、なんと無人の辻馬車が音もなく動き出した!そして現れたのは…?山風明治ロマネスクの最高傑作。』

 

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山田風太郎「幻燈辻馬車」(新潮社)

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山田風太郎「幻燈辻馬車」(角川文庫)