折原一「ファンレター」(講談社:1996)

こんばんは、皆様、三頌亭です。ごそごそ本の整理をやっていたら出てきたので読んだ本ですね。書簡体形式の連作短編小説です。この作者のもので手紙を使ったものとしては「チェーンレター」というのもありました。お勧めはしませんが個人的に面白かったですw。ところで折原一さんは北村さんあたりと同年代の作者なのでそのあたりお読みになる人はご配慮いただきたいです。この作品はコメディタッチのミステリーで、私などは結構笑ってしまったのですが、登場人物はおよそ感情移入しにくい小物ばかりですw。メインキャラのミステリー作家の西村香は若い女性にには目のない好色漢で、ろくでもない編集長から「若い美人の担当好きにしていいから原稿書いてください」といわれると「絶対書きます!」と豹変しますw。このあたりユーモアかドン引きかで好みが分かれることでしょう。三頌亭としては「二重誘拐」あたりが虚を突かれた感じがあって面白かったです。いろいろ瑕疵はあるのですが、サクサク読めてしまう短編集でした。

 

出版社紹介

「お返事がないので、またお手紙を差し上げます」熱狂的な女性ファンから次々届くファンレター、断っても断ってもしつこく講演を依頼してくる図書館司書…謎の覆面作家・西村香をめぐって起こる怪事件・珍事件の数々。はたして作家は、男なのか、女なのか?年齢は?全編、手紙形式でつづる絶妙の連作推理集。

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折原一「ファンレター」(講談社:1996)