横田順彌「幻綺行 完全版」 (竹書房文庫)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は「ヨコジュン」の「幻綺行 完全版」です。「SFアドベンチャー」掲載時の短編エピソードをすべて収集した版です。SF冒険小説とでも言ったらいいのでしょうか?。実在の人物・中村春吉をモデルにした秘境探検小説、小栗虫太郎の「人外魔境」や香山滋の人見十吉ものなんかをイメージしてもらえればいいです。おきまりの冒険小説なのですがモデルにした中村春吉のせいなのでしょうカラっと楽しく仕上がっていい作品になってます。ヒロイン役の「雨宮志保」が頭よすぎなのはご愛嬌ですw。

さて横田順彌氏の作品で中村春吉が活躍する長編作品は以下2点です。こちらもできれば再版してほしいものです。

『大聖神 中村春吉秘境探検記』(徳間書店、1994年)

日露戦争秘話 西郷隆盛を救出せよ』(光栄、1995年)

参考:実在の中村春吉に関して

中村春吉自転車世界無銭旅行 (押川春浪 編)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/887000/1

 

ところで解説の日下三蔵氏が言っているようにNHKの『いだてん〜東京オリムピック噺〜』での天狗倶楽部のエピソードを見られずに亡くなってしまったのは残念だっただろうと思います。また日下氏の「それでも著作は残りますよ」という1行に感動してしまいました。遅くなりましたがご冥福をお祈りいたします。願わくば「日本SFこてん古典」の再版されんことを・・やはり横田順彌作品中の白眉ですから。

 

出版社紹介

「その男がゆくところ、必ずや冒険と怪奇が待ち受ける。男の名は中村春吉。明治の世に自転車で世界一周無銭旅行を決行した快男児である。困っている人間を見捨てておけぬ性分ゆえによく事件に巻き込まれる。そんなバンカラの権化のような男が、蘇門答剌(スマトラ)で面妖な植物と遭遇したのを皮切りに、波斯(ペルシヤ)では怪魔像と対決し、露西亜(ロシア)では突如現れては消えるバラバラ死体の謎に挑む。中村春吉が求めるのは秘宝にあらず名誉にあらず。ただひたすらに未知なるものを求めて探検と旅を続けるのみ。明治の世界を舞台に冒険譚とSFを見事に融合させた傑作が、単行本未収録の二篇を加えた完全版として令和の世に甦る!」

参考)横田順彌「快絶壮遊〔天狗倶楽部〕: 明治バンカラ交遊録 (ハヤカワ文庫JA)」

 

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横田順彌「幻綺行 完全版」 (竹書房文庫)

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幻綺行 中村春吉秘境探検記

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SFマガジン横田順彌・追悼号