小栗虫太郎「亜細亜の旗」(2021:春陽堂書店)

こんばんは、皆様、三頌亭です。最近、仕入れて読んだ作品です。今頃になって小栗虫太郎の長編作品が発掘されてこようとは夢にも思わなかったですね。さらに驚くべきはその文体でありましょうか?。恐ろしく平易かつ読みやすい文章でありまして、およそ同じ著者によって書かれたとは思えない作品です。この後発表されたジュブナイルSF「成層圏魔城」ですら、それまでの小栗虫太郎作品と違和感があったわけではありません。もし同一の著者によって書かれたものとすれば大変苦労して書かれたものだと三頌亭は思っております。とりあえず彼のファンの方のみにお勧めしておきます。

 

参考資料

江波戸泰子『おじいちゃん、一二〇歳おめでとう』

http://www.mystery.or.jp/magazine/article/746

 

出版社紹介

小栗虫太郎生誕120年、歿後75年記念出版

大東亜共栄圏構想を掲げていた昭和16年、太平洋戦争前夜の厳しい言論統制下で 連載されていた小栗虫太郎の長編小説発見! 80年の時を経て初刊行! !

小栗虫太郎は、横溝正史江戸川乱歩の登場した雑誌『新青年』でデビュー。『黒死館殺人事件』によって当時の探偵文壇に確固たる地位を築き、現在も『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』と並ぶ三大奇書と称されている。その小栗の見慣れない連載小説が発見され、専門家の調査により“未刊行作品"と確認された。独自の文体、ペダントリー、ミステリー趣向は影をひそめ、従来の小栗虫太郎観を激変せしめる通俗的な恋愛小説である。歿後74年にして出版される異色作だが、本書の刊行は、戦時下の探偵作家たちの苦労とともに、昭和における国家と政治、文学を問い返す機会にもなるだろう。

 

亜細亜の旗』ストーリー

日中の架け橋たらんと上海の病院に勤務する青年医師・峰島譲治は、一時帰国の船上で運命の女性・暁子と出逢う。だが二人の恋は、周辺の思惑が複雑に絡み合って定まらない。大東亜共栄圏建設によって雄飛しようとする日本の姿を、主人公に仮託した小栗虫太郎の国策小説発見! 『黒死館殺人事件』をしのぐ一大長篇、ここに登場! ! 発見者の山口直孝氏(二松学舎大学)の解説のほか、子息・小栗宣治氏の「小伝・小栗虫太郎」を収録。」

 

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小栗虫太郎亜細亜の旗」01

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小栗虫太郎亜細亜の旗」02