こんばんは、皆様、三頌亭です。最近、買って読んだ本です。荒俣宏 編/紀田順一郎 監修の「平井呈一 生涯とその作品」です。創元推理文庫の「幽霊島 (平井呈一怪談翻訳集成)」のあとがきを読んでいて荒俣宏氏が平井呈一に関する詳細な年譜を用意していることを知った時から楽しみにしていた本で、荒俣宏氏の労作です。未発表作品・随筆ともに珍しいものが収められていて大変おもしろかったです。そして、これは内容とは直接関係がないのかもしれませんが、知遇を得た最後のお二人(荒俣宏&紀田順一郎)の熱意が三頌亭には少しだけ寂しいものに感じられて胸がいっぱいになってしまいました。
松籟社・内容紹介
ラフカディオ・ハーンの諸作品の、また『ドラキュラ』はじめ英米怪奇文学の翻訳者として著名な平井呈一(本名・程一)。しかしその生涯は不明なところが多く、モデル小説とされる『来訪者』(永井荷風)に基づく偏見も一部に見られる。
中学時代に平井呈一の知遇を得、師事した編者・荒俣宏が、広範な資料調査と関係者への綿密な取材をもとに平井程一年譜を作成(荒俣と同じく、平井に縁の深い紀田順一郎が監修にあたった)。加えて未発表の小説3作、評論や随筆、俳句作品、呈一縁者の回想記等を併載し、平井呈一という一人の文学者の全体像を明らかにする。
【本書の主要目次】
第一部 平井程一年譜
第二部 未発表作品・随筆・資料他
一.未発表作品
鍵
顔のない男
奇妙な墜死
二.評論・随筆・解説他
文壇人を訪ねる【二十三】 近松秋江氏とストーヴ
サッカレエ『歌姫物語』解説
翻訳三昧
小泉八雲─NHK「人生読本」より
「世界恐怖小説全集」内容紹介より
「全訳小泉八雲作品集」(恒文社刊)内容紹介より
「無花果会」以前の程一俳句
三.呈一縁者による回想記
他郷に住みて (吉田文女)
雲の往来 (谷口喜作)
あとがきと感謝の辞 (荒俣宏)
編者・監修者紹介
荒俣宏(あらまた・ひろし) ※編者
作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ(ともにKADOKAWA)、『世界大博物図鑑』(平凡社)、『サイエンス異人伝』(講談社)、『江戸の幽明』(朝日新書)など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ~Ⅲ(東京創元社)を編纂。
紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう) ※監修者
評論家・作家。書誌学、メディア論を専門とし、評論活動を行うほか、創作も手がける。
主な著書に『紀田順一郎著作集』全八巻(三一書房)、『日記の虚実』(筑摩書房)、『古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫)、『蔵書一代』(松籟社)など。荒俣宏と雑誌「幻想と怪奇」(三崎書房/歳月社)を創刊、のち叢書「世界幻想文学大系」(国書刊行会)を共同編纂した。