つげ義春「新版 貧困旅行記」 (新潮文庫)

こんばんは皆様、三頌亭です。これも以前読んで記事にしなかった本です。私見ではありますが、いわゆる私小説というものが骨董品と化した現在、その命脈をつないでいく作品はこういったものしかないのではないかとおもっている本です。という能書きはいいとしてとにかくつげ義春撮影になる写真が素晴らしいです。写真も文章もつげ義春の漫画のとおりでつげカラー一色の旅行記です。一見貧乏くさいんですがそれがまたいいんですよ~ww。主には1960年代後半から1980年代に書かれた文章なので、今では確実になくなってしまった田舎の風景が面白いです。又吉直樹さんあたりが好みじゃないかと思って調べてみたのですが、好みは林静一さんのような感じでした。まあ年齢にもよるものなのでいいといっても現在では限定的なお話になるのでしょう。

 

出版社紹介

「日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。」

つげ義春「新版 貧困旅行記」01

つげ義春「新版 貧困旅行記」02

つげ義春「新版 貧困旅行記」03

つげ義春「新版 貧困旅行記」04