草野唯雄「文豪挫折す」(光文社:1978/4/1)

こんばんは皆様、三頌亭です。今日は昔の読み残し本です。ブックオフへ行くと双葉社版が置いてあったので買ってきました。これがなかなか面白かったので記事にしておきます。大まかにいうと「国木田家、その最初の妻の実家である佐々城家、佐々城夫人・豊寿の姉が嫁いだ森家を次々と襲った不幸の黒幕を、森家の娘、秋(後の相馬黒光新宿中村屋創業者夫人)が追求する」と言うストーリーです。相馬黒光の『黙移』に触発されてできた作品ですが文壇ゴシップ解明するミステリーですね。モデル小説とノンフィクションの間の作品と言ったらいいのでしょうか?。証言を聞いて回る相馬黒光に明かされるエピソードがちょっと創作では得られないおもしろさがあってあっという間に読んでしまいました。もちろん黒幕の正体は早くにわかってしまいますが、そのモンスターぶり(あまりに卑怯でいやらしいww)が素晴らしいです。機会があれば「黙移・相馬黒光自伝 (平凡社ライブラリー)」も読んでみたいと思っております。国木田独歩は本書で扱われたエピソードを題材に小説を書くつもりであったようですが、果たすことができませんでした。しかし知り合いの有島武郎によって「或る女のグリンプス」として作品化されました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%96%E3%82%8B%E5%A5%B3

 

それぞれのモデルと実在の人物を比べるのも一興でしょう。私は文豪ストレイドッグスの佐々城信子を挙げておきましょう。

草野唯雄「文豪挫折す」

文豪ストレイドッグス・佐々城信子

 

ボニー・ジャックス「月光仮面の歌」

こんばんは皆様、三頌亭です。特にという話題ではないのですが、以前書きましたかね?というお話。桑田次郎作画の「月光仮面」読んだのが先か、アニメの「月光仮面」見たのが先か、定かではないのですw。アニメの「月光仮面」のエンディングテーマのお話です。わたしより4つ上の知人が「月の光を背に受けて~」というのを冗談で歌っていて、サビの部分が全然違うので別の曲があるのだと知った思い出があります。私の知っていたのはアニメのボニー・ジャックス版でした。それにしてもコピーライター川内康範の作詞のしぶとさに妙に感心してしまいますw。

 

挿入歌「月光仮面の歌」

作詞 - 川内康範 / 作曲 - 小川寛興 / 歌 - 三船浩 (1958年)

https://www.youtube.com/watch?v=voTVvyNRFi8

 

ボニー・ジャックス「月光仮面の歌」『正義を愛する者 月光仮面』エンディングテーマ

作詞:川内康範 作曲:三沢郷 (1972年)

https://www.youtube.com/watch?v=MLkqGwyl2co

 

歌詞:川内康範

『月の光を背に受けて 仮面にかくしたこのこころ

風が吹くなら吹くがいい 雨が降るなら降るがいい

愛と正義のためならば 何で惜しかろこの命

わが名は月光 月光仮面

 

つらいだろうが今しばし 待てばしあわせやってくる

貧しい人よ呼ぶがいい 悲しい人も呼ぶがいい

心正しき者のため 月よりの使者ここにあり

わが名は月光 月光仮面

挿入歌「月光仮面の歌」

ボニー・ジャックス「月光仮面の歌」

 

「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(7)」 (電撃文庫2024)

こんばんは皆様、三頌亭です。今日は最近買った本です。セカンドシーズンになった「魔法科高校の劣等生」ですが、言い方悪いんですけど「社長漫遊記」めいてきておりますww。

お兄様の能力がいろいろチート級なんで冒険小説になりにくいのが玉に瑕といったところでしょうか?。プロットは面白いのですがもう少し肉付けを手厚くしていただけるとさらに良いかなと思ってしまいました。定点観測の感想でありますw。

 

出版社紹介

「迫りくる世界の危機、入り乱れるそれぞれの思惑。達也の次なる一手は!?

シャンバラ探索から帰国した達也たち。USNAに眠る大規模破壊魔法[天罰業火]を封印するため、再度旅立とうとする達也に対し四葉真夜は出国を許可しない。

達也を国内に留まらせ、国内の抑止力としたい四葉家の裏のスポンサー東道青波の意向に沿うためだ。達也としても東道との契約は無視できないものだった。

世界情勢も大きく変わろうとしていた。IPUがチベットに出兵し、大亜連合に対して宣戦布告したのだ。日本国内でも動きがあり、軍部を中心に達也を文民監視団として派遣しようと画策していた。

大亜連合でも引き続き達也の暗殺が企てられており、その足掛かりとして一条将輝に忍び寄る影が――。」

 

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(7)

 

梶龍雄「葉山宝石館の惨劇」(徳間文庫:2023/8/8)

こんばんは皆様、三頌亭です。皆様、あけましておめでとうございます。最近更新の少なくなったブログですが、本年もよろしくお願いいたします。さて、ここ2年間、徳間文庫から驚愕ミステリ大発掘コレクション(3冊)、青春迷路ミステリコレクション(2冊)と称して梶龍雄作品の復刊がされております。新本格の時代に結構真面目に本格やってた人なのですが、評価されることの少なかったことが残念だったと三頌亭はよく思ったものですw。「葉山宝石館の惨劇」・・・奇抜なプロットが大好きな方いかがでしょうか?。この人も個人的にはいろんな思い出と重なってどの作品がいいか選ぶのに困ってしまいますが、戦時中のナンバースクールを舞台にした「リア王密室に死す」や戦後すぐの青春を描いた「海を見ないで陸を見よう」が非常に生き生きとした描写で大好きでした。作者はちょうど三頌亭の父親あたりと同年代なので、戦時中に学生だった世代です。暗い時代であったにもかかわらず書かれたものは読後に鮮烈なイメージを与えるのはやっぱり作者の青春時代であったことによるものなのでしょう。

 

追記:「灰色の季節―ギョライ先生探偵ノート」も復刊していただけないでしょうか?もう一度読みたいのです。

 

梶龍雄「葉山宝石館の惨劇」出版社紹介

「少年だけが、全てを見ていた……帆村財閥の異端児・建夫が葉山に設立した私設宝石博物館――収蔵品の剣・銃・斧を使い、長女・光枝の三人の恋人候補が次々殺されていく。

「なぜ三重密室を作らねばならなかったか?」Why(理由)を問うユニークな“密室動機講義”から導かれる、仰天の真相とは?

昭和が終わった年/新本格勃興期、新書ミステリの雄が放った、稚気と本格推理への愛全開の熱き挑戦状(ラブレター)。解説 今村昌弘」

梶龍雄01

梶龍雄02

梶龍雄03

梶龍雄04

梶龍雄05

梶龍雄06

 

松本零士「光速エスパー」

こんばんは皆様、三頌亭です。今年の2月でしたか、漫画家の松本零士氏の訃報が入ってきました。いままでたくさんの漫画をありがとうございます、遅ればせながら、謹んでご冥福をお祈りいたします。この方の漫画については、個人的な思い出が絡んでいて、あのときはあの連載読んでた頃だとか、いろんなことを思い出してしまいますw。代表作というのは読者それぞれ色々あるのでしょうが、三頌亭が一番初めに読んだ松本零士作品ということで「光速エスパー」を紹介いたしましょう。連載当時、小学生でしたが、「少年ブック」連載だったと記憶しています。特撮テレビドラマ「光速エスパー」(「イー、エス、パー」ってやつですww)のコミカライズ作品でした。松本零士氏のマンガの方がメカデザインとか明らかにカッコよかったので実写の方もあんな風にできないのかなあ~と当時よく思いましたね。因みに漫画版での主人公の名前は「古代すすむ」といいます。

 

追記:今年最後の記事となりました。皆様どうもありがとうございます。良いお年をお迎えください。

 

光速エスパー」あらすじ紹介

「1967年に放映され、当時の子どもたちに絶大な人気を誇った特撮番組『光速エスパー』を松本零士がコミカライズ。濃いスモッグが関東一帯を覆い、通信・レーダーが狂う異常事態が発生する東京。異端の科学者・古代博士は謎の組織に命を狙われ、瀕死の重傷を負った少年を助ける。少年の名はエスパー。宇宙侵略を企む独裁者に支配されるバシウト星から父母と共に脱出してきたという。独裁者との対決にむかう父母を見送ったエスパーは、古代博士の作った強化服に身をまとい、七つの力を駆使し、地球を狙うバシウトの企みを打ち砕く!!」

松本零士

光速エスパー01

光速エスパー02

 

西村賢太「誰もいない文学館」(本の雑誌社 2022)

こんばんは皆様、三頌亭です。今日は以前読んで記事にしていなかった本です。西村賢太「誰もいない文学館」ですね。亡くなられた後に出版された本のようです。実はこの人の本を読むのはこれがはじめての三頌亭ですw。以前から復刻の探偵小説のあとがきや解説を彼が書いているのが不思議でしかたなかったのですが、この本を読んで納得いたしました。西村賢太さんの古書による自分の精神史(私小説)といってもいいのでしょう。こう言ってはなんですが思いのほか研究者向きの人だったんですねw。あまりはっきりとは書いておられませんが、マイナー文学館といいながら過去の大家についてもよく読んでおられる節があって感心してしまいました。ご参考までに取り上げられている作家のリストを下にお示しいたします。文章もともにアナログな昭和の時代を楽しんでいただければ幸いです。

出版社紹介

小説にすがりつくように生きてきた私小説書きが自身にとって重要な書物を紹介する偏愛書録。「小説現代」連載の「誰もいない文学館」と「本の雑誌」連載の「文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち──幻の筆跡を通じて」を収録

[目次]

第一回 藤澤淸造『根津権現裏』

第二回 藤澤淸造『根津権現裏』

第三回 藤澤淸造『根津権現裏』

第四回 呉承恩 田中英光西遊記

第五回 朝山蜻一『キャバレー殺人事件』

第六回 大木雄二『童話を書いて四十年』

第七回 村山槐多『槐多画集』

第八回 倉田啓明『地獄へ堕ちし人』

第九回 田畑修一郎『石ころ路』

第十回 宇留野元一『樹海』

第十一回 大坪砂男『閑雅な殺人』

第十二回 久鬼高治『北十間川夜話』

第十三回 横川巴人『夢 横川巴人作品集』

第十四回 尾形亀之助『雨になる朝』

第十五回 川村花菱『川村花菱脚本集』

第十六回 尾崎一雄『子供漫談』

第十七回 城昌幸『みすてりい』

第十八回 八木義徳『美しき晩年のために』

第十九回 藤森淳三『文壇は動く』

第二十回 『甘棠集』(佐々木味津三 追憶文集)

第二十一回 相馬泰三『鹿子木夫人』

第二十二回 松永延造『時頼と横笛』

第二十三回 武田武彦『踊子殺人事件』

第二十四回 島田清次郎『晶玉集』

第二十五回 上野成子『鹿鳴草』

第二十六回 岩崎英重『坂本中岡両先生遭難顚末』

第二十七回 芳賀書店田中英光全集』内容見本

最終回 西村賢太編『藤澤淸造全集内容見本』

 

付録 「文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち──幻の筆跡を通じて」


第一回 籘澤淸造(1)

第二回 籘澤淸造(2)

第三回 永瀬三吾

第四回 大河内常平

第五回 石浜金作

 

西村賢太「誰もいない文学館」

 

角田喜久雄「霧に棲む鬼」(春陽堂文庫:1976 初出1952)

こんばんは皆様、三頌亭です。今日は角田喜久雄の「霧に棲む鬼」です。春陽堂文庫にはほかの文庫では読めない少し変わったミステリー系の作品が入っていてよく読みました。角田喜久雄大下宇陀児、ミステリー系ではありませんが三橋一夫などですね。角田喜久雄は伝奇小説の作家として有名なのですが、ミステリー作品も書いておりまして「霧に棲む鬼」はそのひとつです。コーネル・ウールリッチもかくやとばかりの巻き込まれ形のサスペンス小説ですが、ちょっと1950年代のモノクロハリウッド映画みたいな感じがよろしいですw。自殺を決意したヒロインが次々と事件に巻き込まれていくのですが、それを操る黒幕の復讐方法がちょっと類例がなくてびっくっりした記憶が残っています。探偵小説マニアな方いかがでしょう?。

蛇足で申し訳ないのですがいわゆる伝奇三部作(『妖棋傳』『髑髏銭』『風雲将棋谷』)面白いです。伝奇小説お好きな方にお薦めしておきます。

角田喜久雄「霧に棲む鬼」(春陽堂文庫)