ウイリアム・ホープ・ホジスン『ナイトランド(上下巻)』(月刊ペン社 :1981年、荒俣宏訳)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は読み残しの大作・ホジスン『ナイトランド』でございます。買ってから何十年かぶりにやっと読みましたww。これ読んでなかったんですか~という方もいることでしょう。かなり前にNight Shade Booksというところから出た5巻本のホジスン傑作選を入手して、主だった作品を読むことができました。「ナイトランド」はその時すでに荒俣宏氏の翻訳があって、購入したものが本棚に鎮座ましましておりました。あとがきで荒俣宏氏は「翻訳は苦痛以外のなにものでもなかった」などと書いておられまして、読むのがのびのびになって今回のようなことになってしまっていますw。

さてこの作品一言で言いますと、騎士道・冒険恋愛ロマンス(ちょっとSF風味)であります。考えようによれば古色蒼然、ただの中二病的冒険ロマンスですが、未来におけるナイトランドのディテールと時間軸のねじれ具合がこの作品の肝ではないかと私は思います。ラヴクラフトの言う「コスミック・ホラー」の草分けというわけですね。変な言い方ですが通常の小説的美点を欠いた異常作というのがこの作品の特徴です。皆様いかがでしょうか?

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

 

ちなみに三頌亭のホジスン作品の一般的なおすすめは『異次元を覗く家』と短編集『海ふかく』(ア-カム・ハウス叢書:国書刊行会)です。ところで妖精文庫のまりの・るうにいさんの表紙が好きだったので載せておきます。

 

原書房・紹介

「百万年後の滅びゆく地球。絶滅の危機を逃れた人類が暮らすピラミッドの外界は、巨大な怪物が闊歩する「ナイトランド」だった。H・P・ラヴクラフトやC・S・ルイスが絶賛した20世紀イギリスを代表する異次元幻想怪奇小説ついに復刊。

 

ウィリアム・ホープ・ホジスン著、荒俣宏訳の『ナイトランド』は、2002年6月に原書房より刊行された傑作幻想長編です。定価3,520円(本体3,200円)、550ページの堂々たるボリュームを誇ります。太陽を失った遥か未来の地球を舞台にした、壮大かつ異様な世界観で知られる伝説的なSF・怪奇小説です。」

ナイトランド上巻:月刊ペン社

ナイトランド下巻:月刊ペン社

ナイトランド:原書房

 

松本清張「両像・森鷗外」(文春文庫:1997)&小金井喜美子「泡沫(みなわ)の歌 :森鷗外と星新一をつなぐひと」 (星マリナ(編集)、ホシヅル文庫:2018)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は森鴎外・関連の本2冊です。三頌亭、鴎外の作品は傑作選みたいなものばかり読んでいて、岩波の全集を読んでいません。このまえやっと文庫になった「椋鳥通信」を読んだですよw。鴎外の評伝についてもしかりです。ということで松本清張「両像・森鷗外」なんですが、これたぶん松本清張の遺作です。単行本になる途中でなくなられたようなのでややまとまりきらないところもあるんですが、非常に面白い評伝になってます。鴎外の作品に『渋江抽斎』(ノンフィクション)という作品があるのですが、これの成立過程が特に面白かったです。『渋江抽斎』の面白さは彼の息子の渋江保が作成して鴎外に預けたドラフト(資料)によるという点を松本清張は指摘しています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B%E6%B1%9F%E6%8A%BD%E6%96%8E_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)#%E5%A4%96%E9%83%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF

 

また余談ですが乃木希典大将(鴎外があこがれていた)の検死報告なんていうものが残っているのかとおどろいてしまいました。ただし、さすがの松本清張も「両像」(軍医という官吏の森林太郎と文人としての森鴎外)について明解には割り切れておりません。清張作品をたくさん読みましたが、三頌亭は松本清張がなぜこのように鴎外という人物に執着するかがよくわからないですw。

 

さて、さらに鴎外関連でもう1冊紹介してみましょう。作家・星新一のおばあさんは歌人・小金井喜美子でして、鴎外の妹です。「泡沫(みなわ)の歌」は星新一の娘さん・星マリナさん編集になる森鴎外&小金井喜美子&星新一・文集です。さしづめ「家族・一族から見た鴎外」といったところです。星新一はエッセイ「藩医と武士」なかであっさり「両像」の謎を説明してくれています。「余は石見人森林太郎として死せんと欲す」といった森鴎外の真意についても平たく説明していて妙に感心してしまいました。星新一の戦時中の愛読書は『渋江抽斎』であったそうです。森鴎外に興味のある方いかがでしょうか?

 

出版社紹介 松本清張「両像・森鷗外」

「官途に精励し、軍医総監まで昇りつめた鴎外。飽くなき創作意欲で文豪の名を恣にする鴎外。二つの像を独自の視座から照射する評伝

鴎外がただ一度訪れた祖父白仙の墓から、敬愛する作家の軌跡を辿る旅は始まった。鴎外はなぜ離婚を機に破門されたはずの西周の評伝を引き受けたのか。晩年の大作史伝「澀江抽斎」「伊沢蘭軒」はどのように創作されたものなのか。研究家の触れるところ少ない謎の部分に、独自の視座から光を当てた遺作評伝。」

 

出版社紹介 小金井喜美子「泡沫(みなわ)の歌 :森鷗外と星新一をつなぐひと」

「森鷗外の妹にして、星新一の祖母。ふたりの作家をつなぐ歌人・小金井喜美子の物語です。

【第一部】 星新一が子守唄がわりに聞きながら眠った小金井喜美子の和歌306首。

喜美子自身が「ただ言歌」と呼ぶ、わかりやすくて古びない和歌は、星新一のショートショートのよう。

【第二部】随筆、日記、手紙、写真等のリレーでつなぐ森鷗外と星新一26項目。

喜美子が子供の頃から兄・鷗外と共有していた文学への思いは、やがて孫の新一へと受け継がれていきました。

 

どちらも日本を代表する作家でありながら、時代もジャンルもちがい、一緒に語られることがない森鷗外と星新一を、子孫の「下から目線」で一緒に語る初の試みです。」

松本清張「両像・森鷗外」

小金井喜美子「泡沫(みなわ)の歌 」

 

エドワード・ルーカス・ホワイト「ルクンドオ」&「セイレーンの歌」(アトリエサード/ナイトランド叢書:2018,2026)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はE・L・ホワイト(1866~1934)の短編集「ルクンドオ」&「セイレーンの歌」を取り上げてみましょう。この人の作品として日本でもっともよく知られたものは「こびとの呪い(ルクンドオ)」で、谷崎潤一郎の『人面疽(じんめんそ)』と並んで同テーマの代表例ですね。かなり前にオーストラリアの方のやっているオープンライブラリで短編集の「ルクンドオ」を見つけて読んだことがありました。その時感じたことなんですが、ちょっと類別のしようのないスタイルに驚いてしまいました。作家の語る通り、実際の夢をプロットにそのまま取り入れてあるのが、ユニークでなんとも不条理で不思議な感覚を作品に与えています。

 

短編集「ルクンドオ」のほうでは「鼻面」と「夢魔の家」が既訳作品なのでお読みの方もいらっしゃるでしょう。なんとなくわけのわからないヒロィック・ファンタジー「フローキの魔剣」も妙にあとに残る短編でした。いかさま千里眼のお話「千里眼師ヴァーガスの石板」も意外性の結末で面白かったです。また人工楽園に不時着するお話「邪術の島」も何の話かと思いきや・・・少々怖いお話でしたww。

 

2冊目の短編集「セイレーンの歌」は表題作を除いて端正な歴史小説集です。しかし「セイレーンの歌」は悪夢を現実にしたようなパンチのある短編です。気のせいかポーの短編「メエルシュトレエムに呑まれて」を思い出してしまいました。さて、マニアなあなた、いかがでしょうか?w。ところでこの「ナイトランド叢書」のシリーズ、書誌も充実していて大変助かります。ほんとうに「デジタルデータ」の時代になったなあと思う三頌亭です。

 

出版社紹介

『エドワード・ルーカス・ホワイト「ルクンドオ」(アトリエサード/ナイトランド叢書)

目次

ルクンドオ

フローキの魔剣

ピクチャーパズル

鼻面

アルファンデガ通り四十九A

千里眼師ヴァーガスの石板

アーミナ

豚革の銃帯

夢魔の家

邪術の島

あとがき

解説

 

これらの物語は創作ではなく、

わたしが見た“夢”なのです。

見たままに綴られた悪夢、怪夢、残夢……

自らの悪夢を書き綴った比類なき作家ホワイトの

奇想と幻惑の短篇集!

探検家のテントは夜毎にざわめき、

ジグソーパズルは少女の行方を告げ、

魔法の剣は流浪の勇者を呼ぶ――

歴史ロマンの人気作家が夢で逢った、

呪い、怪物、奇妙な犯罪、謎の孤島……

眩暈を誘う幻視に満ちた、十篇の物語。

 

エドワード・ルーカス・ホワイト「セイレーンの歌」(アトリエサード/ナイトランド叢書)

◎目次

まえがき

セイレーンの歌

イアルバース

相応しき者

ドドナの神託

象の耳

束桿──ファスケス──

海面を泳ぐ敵勢

まだらの黒豹

ディスヴォーラ家の窓辺の灯り

松明の据付台

 

古典古代や中世への憧憬、教養に裏打ちされた歴史・幻想・冒険・浪漫

 ──またはE・L・ホワイト『セイレーンの歌』論を、解説にかえて/岡和田晃

E・L・ホワイトの短篇集未収録作品について/健部伸明

カバー・ギャラリー/ヴィジュアル・ギャラリー

 

綿密な歴史考証を礎に、

夢と想像の翼で広がりを与えた

『ルクンドオ』と並ぶ代表作、ついに邦訳!

 

港で出会った耳の聞こえない男。

彼は世界の果てへと赴き、

そこで半人半鳥のごとき

女怪セイレーンを見たという――

 

黄金の古典古代と

中世への憧憬に彩られた

歴史冒険浪漫譚!』

エドワード・ルーカス・ホワイト「ルクンドオ」

エドワード・ルーカス・ホワイト「セイレーンの歌」01

エドワード・ルーカス・ホワイト「セイレーンの歌」02

 

A・N・L・マンビー「アラバスターの手: マンビー古書怪談集」(2020:国書刊行会)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は買ってあった本で「アラバスターの手: マンビー古書怪談集」です。昔、M.R.ジェイムズ全集(創土社1977)を読んだときに紀田順一郎の解説にのっていたエピゴーネンのひとりがA・N・L・マンビーです。ラヴクラフトのエピゴーネンはたくさん紹介されているのにM.R.ジェイムズのエピゴーネンはほとんど紹介されてきませんでした。ちょっと前、「Ghosts & Scholars」というイギリスの怪奇小説家M.R.ジェイムズ(Montague Rhodes James)の伝統を受け継ぐ怪談・幽霊譚を専門に扱うアンソロジーをぱらぱら見ていたのですが、まだまだよく知らない作家がたくさんいてなかなか盛況なのに驚きました。もっともカーなんかも入っていてジェイムズ・スクールのメンバーというのは牽強付会の感がありますが・・(カーが何故入っているかわかる人は相当なマニアですw)。

 

ところで「アラバスターの手」ですが短編集で大変読みやすい内容です。書誌学者だけあってそれぞれの短編に古書趣味がうまくミックスされていてよろしいです。収録短編は以下の通りです。三頌亭は「甦ったヘロデ王」が一番印象に残ってます。これは幽霊譚というよりは犯罪実話に近いものですが、ジル・ド・レェに関する稀覯本がうまく使われていて大変面白かったです。

 

追記:M.R.ジェイムズのエピゴーネンたち

「Unholy Relics and Other Uncanny Tales」M_ P_ Dare (1947)

「Nine Ghosts 」Malden, R_ H_ (1943)

「Not Exactly Ghosts」Andrew Caldecott  (1947)

 

出版社紹介

「少年を誘う不気味な古書店主、呪われた聖書台の因果、年代物の時禱書に隠された秘密、ジョン・ディーの魔術書の怪……ケンブリッジ大学図書館フェロー、英国書誌学会長を務めた特異な経歴の作家による、全14篇の比類なき書物愛に満ちた異色の古書怪談集!

 

◆目次、前書き

 

甦ったヘロデ王

碑文

アラバスターの手

トプリー屋敷の競売

チューダー様式の煙突

クリスマスのゲーム

白い袋

四柱式ベッド

黒人の頭

トレガネット時禱書

霧の中の邂逅

聖書台

出品番号七十九

悪魔の筆跡

 

解説「怪奇小説の正統を目ざした文献学者」紀田順一郎」

「アラバスターの手: マンビー古書怪談集」

 

映画『去年マリエンバートで』(1961)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日久しぶりに映画のフォルダの更新です。「去年マリエンバートで」、通してみたの初めてなんですね、三頌亭は。監督はアラン・レネ、シナリオはアラン・ロブ=グリエという最強タッグの前衛的映画作品でございますねww。スチールやポスター見てもわかる通り、絵は素晴らしいですね・・・がw。ストーリーが超難解なのだそうです。えーと、簡単に言えば、ストーリー(物語)というのは文学の代物なので映画にとってはやや余計なもの、つまり、映画だけが表現できるものを映画の文法に従って構成しようという意図で作られた映画だと三頌亭は思っています。実際、この映画のストーリーはシュルレアリスムでいうオートマチスム(自動筆記)のような体裁をとっていて過去未来の出来事が入り乱れてジグソーパズルのように構成され、もちろん因果関係も一貫しておりません。というわけであまり難しいことは考えずにゆるゆる流れるイメージとその動きに身をゆだねて驚きを楽しむのが一番楽しいこの映画の見方だと思うわけです。

 

因みに三頌亭はアラン・ロブ=グリエの作品(「消しゴム」、「快楽の漸進的横滑り」など)を昔読んだことがあるんですが、少し苦手なんですねww。

 

作品紹介

「去年マリエンバートで」(L'Année dernière à Marienbad)

監督       アラン・レネ

脚本       アラン・ロブ=グリエ

製作       ピエール・クーロー

レイモン・フロマン

出演者    デルフィーヌ・セイリグ

音楽       フランシス・セイリグ

撮影       サッシャ・ヴィエルニ

編集       アンリ・コルピ、ジャスミーヌ・シャスネ

公開       フランス :1961年6月25日

日本:1964年5月2日

上映時間 94分

 

フランスの名匠アラン・レネが1961年に手がけ、同年の第22回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した一作。戦後世界文学にムーブメントを巻き起こした文学運動ヌーボーロマンの旗手アラン・ロブ=グリエが執筆した脚本で、ヌーベルバーグ左岸派の代表格とされるレネがメガホンをとるという奇跡的なコラボレーションが実現し、「映画史上最も難解な映画」とも称される一作だが、後の映画作家たちにも多大な影響を与えたとも言われている。時代も国籍も不明なバロック調の宮殿のようなホテルに宿泊し、社交に興じる客たち。その中に女Aと男X、男Mの3人がいた。MとAは夫婦だが、XはAに対し、1年前に会い、愛し合ったと語りかける。Aは否定するが、Xは1年後に駆け落ちする約束もしたという。Xの話は真実か、それとも……。ヒロインのデルフィーヌ・セイリグが劇中で着用しているドレス数点を、晩年のココ・シャネルが自らデザインした。2018年、シャネルのサポートによって完全修復が施され、同年のベネチア国際映画祭でプレミア上映。日本では19年10月「4K デジタル・リマスター版」としてリバイバル公開。

 

映画『去年マリエンバートで』予告編

https://www.youtube.com/watch?v=ZuLUttPCfXQ

『去年マリエンバートで』01

『去年マリエンバートで』02

『去年マリエンバートで』03

『去年マリエンバートで』04

 

ハーバート・リード「緑のこども」(前川祐一訳 河出書房新社 モダン・クラシックス 1975)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は古いシリーズの河出書房新社 モダン・クラシックスからハーバート・リード「緑のこども」を取り上げてみましょう。めぐり合わせの悪い本というのがというのがあるみたいで、けっして珍しいわけでもないのにいつまでたっても目の前に現れないというのがハーバート・リード「緑のこども」でした。最近思い出してネットの古書店で買ったのがこの本ですw。リードの「緑のこども」はwikiによれば

 

「『緑のこども』は、英国のアナキスト詩人で評論家のハーバートリードが完成させた唯一の小説です。 1934年に書かれ、1935年にハイネマンによって最初に出版されたこの物語は、イギリスのウールピットの村に不思議なことに現れ、明らかに未知の言語を話す2人の緑の子供たちの12世紀の伝説に基づいています。」なのだそうです。帯に曰く「理想の共和国と超現実的な美のユートピアとの対比の中に独自の無政府主義的世界観が結晶した幻想文学」とか・・・。

 

主人公は南米の某国大統領だったが、暗殺未遂をのがれ(仕組んだのは本人だった)生国である英国に戻ってくる・・・ところから少年時代の回想が語られ子供の時に騒ぎになった「緑のこども」がまだ生きていることを発見する。というところからこの物語は始まります。3部構成で出来たこの作品は2部では南米の某国大統領だった時のことが描かれ、3部では地下に住む「緑のこども」達の世界に隠棲してしまう主人公が描かれます。

 

この作品はイギリスの妖精伝説に乗せて語られる一種のユートピア小説ですね。幸福な無政府主義の行きつく先は何も変わらない、人間的な欲望を欠いた、永久不変のユートピア・・・言い換えれば「死の世界」なのではないかと三頌亭は考えるわけです。非常に素晴らしい幻想小説だと思います。

 

ハーバートリードは美術評論家として有名で、三頌亭も「モダン・アートの哲学」他何冊かの著作を読みました。『緑のこども』は彼の唯一の小説作品です。蛇足ですが、意外な人がこの作品を推薦していて記憶に残ってます。テレビアナウンサーだった楠田枝里子さんです。

 

「緑のこども」(前川祐一訳 河出書房新社 モダン・クラシックス 1975)

「グリーンチャイルド」増野正衛訳 みすず・ぶっくす1959

The Green Child」(1935 :Heinemann)

ハーバート・リード

 

友成純一「宇宙船ヴァニスの歌」(フタバノベルス:1987)

こんばんは、皆様、三頌亭です。以前一度紹介いたしましたが、最近、ebookで復刊されているようなので改めて紹介いたします。この作品は分類としてはスプラッター小説ということになるんでしょうが、エロ・グロ・バイオレンスのスペースオペラでございますww。ヴォークト「宇宙船ビーグル号」を本歌取りしたようなある種のファンタジーノベル(笑いしか出ない)ですね。ジャック・ケッチャムならよくてこういうのは・・・まあ仕方がないんですがww・・あまりよくないというのも、ちょっと不公平なような気がしている三頌亭です。

 

ところで友成純一センセエ最近お亡くなりになってしまってます(合掌)。個人的にも親交のあった大森望さんが「友成さんのこと」という追悼文を『SFマガジン』に書いています。なんでも大森望さんは「『獣儀式』や『宇宙船ヴァニスの歌』の衝撃は忘れられない。」そうです。三頌亭個人としては奇想天外ノベルズからでた「人獣裁判」もよく印象に残っている作品です。そのほか日下三蔵さんがふしぎ文学館「狂鬼降臨」というのをまとめられております。まあどうでしょう?酔狂な方ebookなどでいかがでしょうか?。

 

出版社紹介

「娼妓宇宙船ヴァニスで繰りひろげられる、凄絶な官能SFバイオレンス!。パトリシアとメアリアンの唇が、ニールの首筋、胸、腹、下腹、内腿……唾液のねっとりとした感触をたたえて忙しく這いまわる。薬の効果で、その刺激が、ジリジリと痛いくらいの快感を伝えてくる。「あら、ニール、もうこんなになって……この二時間で、三回目よ」……だが、やってもやっても物足りず、陰茎はそそり立って飢えを表現する。やらなければ。ヴァニスの滞在時間は、一週間。あとまた何年も、単純な肉体労働と女房という定食を味わわなければならない。陰茎がすり切れ、血が吹き出すまでやりまくらなければ……。

 名作SF「宇宙船ヴァニスの歌」シリーズ1~4巻が、合本版として登場!

 

  • 友成純一(ともなり・じゅんいち)

1954年福岡生まれ。1976年、早稲田大学在学中に「透明人間の定理リラダンについて」が幻影城新人評論部門に入選。映画評などでも活躍したのち、1985年「肉の儀式」で小説家デビュー。官能的でバイオレントな作風が注目を浴びる。以後、スプラッター小説のパイオニアとしてだけでなく、SF、ホラー、怪獣小説などでも鬼才ぶりを発揮し、多くの著作を発表。またロンドン関連の著書も多い。現在はバリ島在住。

 

「宇宙船ヴァニスの歌」シリーズ

『宇宙船ヴァニスの歌』(フタバノベルス) 1987年2月

『恐怖の暗黒魔王』(フタバノベルス) 1987年

『血飛沫電脳世界』(フタバノベルス) 1987年

『戦闘娼妓伝』(フタバノベルス) 1988年」

『宇宙船ヴァニスの歌』(フタバノベルス) 1987年

『戦闘娼妓伝』(フタバノベルス) 1988年

人獣裁判 奇想天外ノベルス