C・W・グラフトン『真実の問題』(世界探偵小説全集:国書刊行会)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は読み残しの本からご紹介いたします。だいぶ前のことですが、・・・私の大好きな映画監督のフリッツ・ラングの作品でハリウッド最後のものとなった「条理ある疑いの彼方に」( Beyond a Reasonable Doubt (1956))という作品があります。ちょっと聞いた事のないような邦題で、「変な日本語使うな~」などと思いながら見た記憶がありました。そのわけは同じ英題のC・W・グラフトン『真実の問題』の解説を見たときにやっと氷解しました。「Beyond a Reasonable Doubt」というのは英米法の法律用語で「疑い(合理的な)の余地のない」といった意味で使われるそうです。

というわけでグラフトン『真実の問題』に話を戻しますが、ラングの映画(原作ではない)のおかげでこの作品の大筋の構成はわかってしまいます。おそらく同じ作家では1度しか使えない仕掛けです。作品の感じはちょっと丁寧なペリーメイスンと言ったらいいでしょうか?w。主人公は法廷弁護士ですが、アメリカの探偵さんらしく多分にハ-ドボイルドの衣を身にまとっていて面白く感じました。因みに血は争えないと申しますか、娘さんもミステリー作家でして、「スー・グラフトン」のお父様といったほうが通りがいいのかもしれません。


出版社紹介
「姉の容疑をはらすため殺人を自白した青年弁護士ジェスは、法廷では一転して容疑を否認、持てる技術を駆使して自らを弁護しようと立ちあがる。スリリングな法廷論争の果てに辿りついた評決とは!?」

 

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C・W・グラフトン『真実の問題』