ノーマン・マクレイ「フォン・ノイマンの生涯」 (ちくま学芸文庫:2021)

こんばんは皆様、三頌亭です。今日は以前、朝日選書で出ていたものがちくま学芸文庫に入ったのでご紹介いたしましょう。ノーマン・マクレイの「フォン・ノイマンの生涯」です。フォン・ノイマンの伝記の決定版といっていいのじゃないかと思ってます。この伝記を読むまでフォン・ノイマンについて知らなかったことがたくさんあります。その中で1点だけ挙げておきましょう。フォン・ノイマンは戦後、アメリカの水爆開発を率いたスーパー・タカ派の人物だったのですが、なぜそうなったかというのがそれまで読んだ本ではよくわからなかったです。東西冷戦を演出した科学者の頭の中にあったのは「ゲーム理論囚人のジレンマ)」だったのかというのが発見でした。これを核戦争を未然に防いだ「負のファインプレー」とみるかどうかは永久に答えの出ない問題だとは思いますが・・・。大変面白かったノンフィクションなのでフォン・ノイマンに興味のある方には推薦しておきましょう。

 

出版社紹介

『その底知れない知力によって悪魔とも宇宙人とも呼ばれた男―量子論、ゲームの理論、原水爆、コンピュータ、数値気象学…を立ち上げ、20世紀後半の科学と社会を基礎づけたハンガリー出身ユダヤ人科学者の足跡。

 

目次

頭で世界を変えた男

ブダペストのお坊っちゃま

ギムナジウム時代

獅子の爪をもつ学生

心のゆとりと数学者たち

ゲッチンゲンの量子力学

疾風怒濤の時代、結婚、渡米

プリンストンの憂鬱

爆発計算プロフェッショナル

ロスアラモス、トリニティ、広島、長崎〔ほか〕』

 

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ノーマン・マクレイ「フォン・ノイマンの生涯」