『日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女』(ハヤカワ文庫:2021)

こんばんは、皆様、三頌亭です。引き続き伴名練さん編集の石黒達昌傑作選でございます。えー、発表年代を見ると・・・結構古いじゃないですかww。完全にノーマークの作家さんです。で他の作品集と掲載紙などを見てました。これはしかたがありませんね。この方、現役のお医者さんで医学の研究者です。まるで医学論文の数珠繋ぎみたいな体裁なのですが、これが全体としてSFもしくはファンタジーになっていて面白いんです。うーん、こういう言い方怒られるかもしれませんが・・・、地味な「マイケル・クライトン」といった作風をイメージしてもらえればいいでしょうか?。この傑作選には収録されてませんが『人喰い病』(ハルキ文庫)というのがあって、「アンドロメダストレイン」みたいだと面白そうだな・・と考えてます。またいつか読んでみたいと思います。

 

 

冬至草/雪女』収録作品・解説

「希望ホヤ」(SFマガジン2002年3月号、早川書房

冬至草」(文學界2002年5月号、文藝春秋

「王様はどのようにして不幸になっていったのか?」(〈小説トリッパー〉1996年夏季号、朝日新聞出版)

「アブサルティに関する評伝」(すばる2001年11月号、集英社

「或る一日」(文學界1999年3月号、文藝春秋

「ALICE」(〈海燕〉1995年6月号、福武書店

「雪女」(『人喰い病』2000年、角川春樹事務所)

「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」(海燕1993年8月号、福武書店

 

「1926年の北海道、ある医師の診療所に運ばれてきた女は特異な症状を示していた……圧巻の幻想SF「雪女」、人の血液を養分とする異様な植物をめぐって科学という営為の光と影を描いた「冬至草」のほか、論文捏造事件を予見した「アブサルティに関する評伝」、架空生物ハネネズミを横書き論文形式で語り大江健三郎筒井康隆に絶賛された芥川賞候補作など、伝説的作家による全8篇を集成! 伴名練渾身の解説40p超を併録。」

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日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女