野村胡堂「奇談クラブ」(桃源社:1969、河出書房新社:2018)

こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はひっそりと再版されてる本のお話です。この本もだいぶ昔に読んだ本ですが紹介しておきます。野村胡堂「奇談クラブ」です。「女性資産家を会長とする奇談クラブを舞台に、ゲストの語り手がミステリ、ファンタジーなどの奇談を語るスタイルの連作小説。」とコピーにありますw。どちらかというと「不思議なお話」に属するもので、ホラー要素は少なめですが・・・これが読ませます。河出書房新社の再版部分は戦前に書かれた以下の5話分で、それぞれが中編以上の長さを持っています。どれもよくできていて面白く、このまま連作が続くならなんと幸福なことかと「暑い下宿で読んだ」ときは思ったものですw。野村胡堂の「奇談クラブ」にはこの後書かれたエピソードもだいぶありまして、桃源社版「奇談クラブ」と作品社版「野村胡堂伝奇幻想小説集成」の収録部分を合わせてすべてとなるのですが、のちのエピソードは小ぶりな短編のイメージがありました。一番おいしいところをサクッと出したのが河出書房新社版ですね。

 

野村胡堂といえば一番有名なのが最近、創元推理文庫に傑作選の入った『銭形平次捕物控』なのですが、あちらはやや淡彩な短編の集成です。興味のある方はネットで読めますので読んでみられるのもいいでしょう。

 

野村胡堂「奇談クラブ」(河出書房新社:2018)収録作品

奇談クラブ 第一話 紅唐紙

奇談クラブ 第二話 魔の笛

奇談クラブ 第三話 湖心亭

奇談クラブ 第四話 女性の秘密

奇談クラブ 第五話 鏨地獄

 

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野村胡堂「奇談クラブ」(河出書房新社:2018)

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野村胡堂「奇談クラブ」(桃源社:1969)

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作品社版「野村胡堂伝奇幻想小説集成」