つげ義春「新版 貧困旅行記」 (新潮文庫)

こんばんは皆様、三頌亭です。これも以前読んで記事にしなかった本です。私見ではありますが、いわゆる私小説というものが骨董品と化した現在、その命脈をつないでいく作品はこういったものしかないのではないかとおもっている本です。という能書きはいいとしてとにかくつげ義春撮影になる写真が素晴らしいです。写真も文章もつげ義春の漫画のとおりでつげカラー一色の旅行記です。一見貧乏くさいんですがそれがまたいいんですよ~ww。主には1960年代後半から1980年代に書かれた文章なので、今では確実になくなってしまった田舎の風景が面白いです。又吉直樹さんあたりが好みじゃないかと思って調べてみたのですが、好みは林静一さんのような感じでした。まあ年齢にもよるものなのでいいといっても現在では限定的なお話になるのでしょう。

 

出版社紹介

「日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。」

つげ義春「新版 貧困旅行記」01

つげ義春「新版 貧困旅行記」02

つげ義春「新版 貧困旅行記」03

つげ義春「新版 貧困旅行記」04

 

「リコリス・リコイル」(足立慎吾:A-1 Pictures)

こんばんは皆様、三頌亭です。これは正月時間があったので見たシリーズです。コンビによって雑誌を見ていたらこれが面白いと書いてあったので見てみましたw。製作はA-1 Picturesアニプレックスですね。そこそこには面白く作ってあって快適に楽しませてくれました。特殊な能力を持つ少女のサクセスストーリー??といったところを主軸に物語は展開されてゆきます。この作品の前に見た「水星の魔女」のコスチュームデザインが好みじゃなかったので、妙にほっとするところがあったりして・・・ww。これ当然セカンドシーズンもあるんですよね。そうじゃないと少しおさまりがつきません。監督の足立慎吾さん『機動戦艦ナデシコ』がデビューなんですね、知らなかったです。

リコリス・リコイル01

リコリス・リコイル02

 

高野和明「踏切の幽霊」(文藝春秋 2022/12/13)

こんばんは皆様、三頌亭です。今日はめずらしく新刊ですw。なんとなく読みたくなったというかそんなところです。高野和明さん、やっぱりシナリオライター出身というかそこがテンポがあっていいかな?ゴーストものって昔から映画では当たるんですよ!w。作品としては佐々木譲の「代官山コールドケース」なんかによく似た感じがあります。それにしても退職寸前の文屋さんたちの悲哀がよろしいですね~。自分もこの年になって思うんですが・・しかも舞台は現代から始まって過去1994年に飛びます。まあミステリーとしては最後がほぼ反則なんですが・・・面白かったです。

 

出版社紹介

『マスコミには決して書けないことがある――

都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、

やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。1994年冬、東京・下北沢で起こった怪異の全貌を描き、読む者に慄くような感動をもたらす幽霊小説の決定版!』

高野和明「踏切の幽霊」

 

山田風太郎「東京南町奉行」(旺文社文庫:1987)

皆様、明けましておめでとうございます、三頌亭です。本年もよろしくお願いいたします。実は年始から家族のものが私を除いてコロナにかかってしまい、散々な正月でしたww。こんあこともあろうかと職場から余った抗原検査キットをくすねてきたのが役に立ちましたww。というわけで見残したアニメばかり見ていたので本読んでいません。なので昔読んだものの中から紹介いたします。今はなき旺文社文庫風太郎作品集の一つ「東京南町奉行」です。それにしても天保の改革で辣腕を振るった鳥居耀蔵が近くの丸亀城明治維新まで軟禁されていたことはこの作品を読んで初めて知りました。この作品は鳥居耀蔵のその後を描くフィクションです。このダイヤモンドヘッドの老人の蛮行がなんともユーモラスで不思議な読後感のする作品です。いまはちくま文庫あたりに収められているのでしょうか?。見つけたら一度お読みになってみてください、お勧めですw。

東京南町奉行 (旺文社文庫) 文庫 – 1987/3/1

天保改革で町奉行として辣腕をふるい、燿甲斐(妖怪)とあだ名された鳥居甲斐守燿蔵。改革の坐折で罪を得て丸亀に謫居すること30年、なおも法の厳格な守護者として鬼気迫る行動を示す老武士燿蔵を描く表題作ほか、参議広沢真臣暗殺の謎に迫る。(「天衣無縫」)など5編を収録した、傑作時代小説集。」

収録作品「斬奸状は馬車に乗って」「明治暗黒星」「天衣無縫」「首の座」「おれは不知火」「東京南町奉行

東京南町奉行

 

御厨さと美・水木一郎・聖悠紀

こんばんは皆様、三頌亭です。いや・・・今回は訃報ばかりで申し訳ありません。最近多いですね・・・。自分もそういう年齢になってきたということでいろいろ考えてしまいます。

御厨さと美さん、水木一郎さん、聖悠紀さんご冥福をお祈りいたします。

 

まず御厨さと美さんですが私にとっては「ノーラの箱船」と「裂けた旅券(パスポート)」でしょうか?。以前のブログでも書いたのですがあまり皆様の反応が芳しくありませんでしたw。ストーリーなんかもリアルでよかったのですが・・。絵はうまかっですね。「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」のメカデザインなんかも担当していました。余談ですが「ノーラの箱船」の画像を探していたら自分の過去記事に行きあたってしまいましたw。

 

次は聖悠紀さんです。まあこの方の代表作は「超人ロック」でしょう。廃刊した少年キング連載、少年画報社のヒット・コミックスで読んでました。この人もメカデザインが大変上手でした。アニメのキャラクターデザインでは『闘将ダイモス』などが有名でした(これまだ見てないですよね~)。まだたくさん現役で読めるものがありますので皆さんいかがでしょうか?

 

最後、水木さんです。最近近くにコンサート来て出演されてたそうですが、いった人のお話だと車椅子で歌われたそうです。実をいうと下の曲コンサートで歌ってくれるの聞きたかったんですが、それもかなわなくなりました。残念ですが仕方のないことです。

ミクロマン op

https://www.youtube.com/watch?v=cuBKD3gevLo

ノーラの箱船

超人ロック

 

ポール アルテ「死まで139歩」 (ハヤカワ・ミステリ(1974))

こんばんは皆様、三頌亭です。ポール アルテを読んだのでちょこっと感想を・・・w。なんとなくですが法月綸太郎さんの解説がアツいです。ところで殊能将之さん、未訳のアルテを全部読むほど入れ込んでたなんて知りませんでしたw。肝心の本作の感想なんですけど、一般的には微妙でしょうか??。ただお二人が絶賛している靴のコレクションの動機ですが、あのエンターテナーのカーおじさんと同質の気性が感じられて唖然としてしまいましたww。この部分アルテは「天然の人」でございました。

 

出版社紹介

「暗号のような言葉を残しロンドンの夜に消えた女。毎日手紙を運ぶ謎めいた仕事に雇われた男――ツイスト博士のもとに舞い込んだこのふたつの事件には「しゃがれ声」の怪人が登場する共通点があった。調査に乗り出した博士は、怪人の電話に導かれ、無数の靴に埋もれた郊外の異様な屋敷へとたどり着く。そして、埋葬されたはずの屋敷の主人の死体が密室の中に出現し……不可能状況下で起きた異常な怪事の真相とは? 名探偵〈ツイスト博士〉シリーズの中でも屈指と謳われた傑作長篇がついに邦訳。解説/法月綸太郎

 

ポール アルテ「死まで139歩」

 

佐島勤「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(5)」 (電撃文庫:2022)+α

こんばんは皆様、三頌亭です。お久しぶりですw。今日はいつも読んでる佐島勤「メイジアン・カンパニー」の第5巻です。いままで、たくさん書いてきたキャラクターを縦横に使っての冒険小説と行きたいのが作者の本音ではないかと三頌亭は思っております。場面もマルチスクリーンのように変わってなかなかにぎやかで、面白いです。欲を言えば欠点は主人公がチート級の能力の持ち主なので上手く冒険になりにくいことぐらいでしょうか?。苦労して達成するという達成感が少し薄いですねww。今後に期待の出来る作品です。

 

さて、ここからはちょっと気になる最近の出版から・・・。国書刊行会のマッコルラン・コレクションです。生前の澁澤龍彦氏がくりかえし「マッコルランは現代に甦るべきだ」といっていたことをご記憶の方もおありでしょう。ある古書店のご主人に聞いたお話ですが、そのご主人は彼がなくなる少し前にマッコルランの「女騎士エルザ」を探しているらしいのでプレゼントしたことがあるそうです。後日、礼状が来たらしいのですがそれには「マッコルランの「国際的ヴィーナス」がもっとも好みだ」と書いてあったそうです。

 

現在、国書刊行会から全四巻の予定でマッコルラン・コレクションが刊行中です。「国際的ヴィーナス」は「世界を駆けるヴィーナス」という邦題で現在配本中です。アールデコの文学、レトロなモダニズムのお好きな方はいかがでしょうか?。

 

出版社紹介「北の橋の舞踏会・世界を駆けるヴィーナス」

ロシア革命の不安を背景に現れる美貌の密偵と放浪インテリ乞食集団……奔放過激な幻想や黒いユーモアが爆発する幻視的予言の書『世界を駆けるヴィーナス』。夜と海と砂丘の探偵小説『北の橋の舞踏会』。推理小説の要素を兼ね備えた傑作長編2編に、澁澤龍彦が短編『マドンナの真珠』の藍本とした幽霊船綺譚『薔薇王』を併録。」

佐島勤「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(5)」

北の橋の舞踏会・世界を駆けるヴィーナス